春のメニュー改定に向けて、3月から試作を続けていた。テーマは「肉料理のメインを一品加えること」。お酒に合わせて食べてほしい、そんな一皿を目指した。
低温調理との格闘
国産牛を使った低温調理のローストに決めたのは早かった。問題はソースだった。赤ワインソース、バルサミコ、グレービー。試作のたびに方向性が変わり、気づけば20回を超えていた。
決め手は、ソースを煮詰める時間だった。じっくり時間をかけて煮詰めた赤ワインソースが、肉の旨みと絡んだとき、「これだ」と思った。
料理は引き算だと改めて思う
最終的なレシピはシンプルだ。でも、そのシンプルさにたどり着くまでに費やした時間が、料理の深みになると信じている。
5月から正式にメニューに加わった牛肉のロースト。お客様の反応が楽しみで、毎晩オーダーが入るたびに緊張しながら焼いている。